井戸はあるが金気が多くて使えない。工場の冷却水として使いたいが配管がすぐに詰る。各地を巡回して、地下水の問題発生が多くあることを実感しました。高コストの水道を使うことは大きな負担でした。
私たちは、ユーザー様からヒアリングを行って設計プランを構築します。苦い経験もあります。たとえば、「5ppmのFeを飲料基準値まで除去してほしい」との要望で現地入りし、調査しますと実際は10ppm以上で、なおかつ飲料基準を超えたMnが含まれるとか・・・。
このWEBサイトでは、現場体験から得た知識の中で説明します。水中の化学変化、物理的変化、触媒反応については、他のサイトに多く公開されていますからあえて掲げることは控えました。
私たちは、高濃度のFeやMnの連続的な処理をいたしました。Feは30ppm↓、Mnは6ppm↓が実際の体験です。水の臭気や濁りなど付随した作業も行いましたが得意とするのはFe・Mn除去です。
単純なFeの場合、フラットな設置場所があって、装置1次側(ポンプからの吐出)、2次側(処理水側の配管)と、洗浄排水のドレンがすでに設けられていた場合、組立・充填・調整で4-5時間程度で稼動が可能です。
このように、省スペースで調整時間が短時間で可能であるのは、濾過材が高性能であるからです。ろ材は「キヨノライトFM型セラミクス」で、㈱日本技術開発センターのオリジナルです。
各地の現場に設置してまいりましたが、十分なスペースを頂けるところはありません。濾過材の容積を圧縮できる高性能なろ材が必要とされます。基本濾過材を、キヨノライトFM型セラミクスとして除Fe・除Mnのノウハウの蓄積を重ねました。
水に溶解している鉄やマンガンは、単分子状の微粒子になっていますので「砂ろ過」では、そのまま通過してしまいます。水中に酸素が十分溶解していると酸化されて大きな分子になって沈殿し、濾過材で除去が可能となります。
水中の鉄やマンガンと水中の酸素は反応が遅く時間を要するために連続的に処理することは困難です。地下水(井戸水)は、地中にあり酸素は少ししか溶解していません。そのため次亜塩素酸ソーダなどの酸化剤を加えることが必要となります。
Fe・Mnを効率よく除去するためには、水を酸化触媒に接触させることで瞬間的に酸化反応を起こさせ、鉄やマンガンを濾過することが必要です。上記の次亜塩素酸ソーダの希釈液を助剤として微量添加することで高濃度のFe・Mnを高い除去率で濾過することが可能となります。
性能の優劣は、酸化触媒の素材にあります。ウェルFM型装置に採用の酸化触媒は、「キヨノライトFM型セラミクス」です。Fe・Mnに対して連続的な除Fe・除Mnに適した濾過材です。
キヨノライトFM型セラミクスは、鉄・マンガン・タングステンの酸化物を単結晶状に結晶させたもので、一般的に使用されている多結晶の二酸化マンガン等の酸化触媒とことなり、反応速度が極めて大きいために、少量で効果を維持することができます。
定期的な交換は必要なく、ろ過材の洗浄を行うことで再生して連続的に使用が可能です。通常は数年でろ材の全量交換を行いますが、キヨノライトFM型セラミクスは触媒で交換の必要はありません。触媒自体は水に溶解したり性質が変化しないので半永久的に再利用が可能です。
キヨノライトFM型セラミクスは、ノーメンテナンスではありません。洗浄工程によって生じるろ材の磨耗による減少分を1-2年に一度の間隔で濾過材の補充が必要です。補充量は、装置の稼動時間や型式、仕様によって異なります。
私たちは、高濃度のFe・Mnの安定的な連続処理を実現しました。濾過材は、除鉄・除マンガンに効果的なキヨノライトセラミクスFM型(日本技術開発センター社製)を使用します。容積が少なくても処理能力が高く、敷地内を大きく占有する従来の設計とは異なり省スペースでの屋内設置を可能としました。
無薬剤での処理を希望される企業があります。Well FM型は、希釈次亜塩素酸ソーダを添加しなければ安定的な除鉄除マンガン処理はできません。除Fe・除Mnが目的のため、濾過材のコンディションを維持するために酸化剤が必要です。
まれな事例ですが、養魚場で使用する水処理で、無薬剤で処理を行いました。その際は、ろ材・キヨノライトFM型を安定化させるために、ろ材洗浄時のみ薬剤を添加し塩素を残留させない方法も取り入れました。また、脱塩素工程を付加した場合もあります。
食品工場では残留塩素を必要とします。食品衛生法に合致させるために施設貯水槽・配管の容積を考慮して塩素濃度を設定します。水中物質と塩素の接触消耗や濾過材との接触消耗を考慮して0.1-0.4ppm辺りの残留塩素濃度も自在にコントロールできます。
地下水を処理する場合、単純な場合と複雑な場合があります。単純にはポンプから送水されてろ材充填タンクでろ過を行い、受水槽に蓄えるかまたは必要とされるラインに処理水を供給します。処理工程、洗浄工程はシーケンスでバルブ操作によって全自動で行います。助剤である次亜塩素酸ソーダの注入装置の動作もシーケンスで制御します。
複雑な場合とは、サンプリング観察で判明した地下水の性状や含まれる物質によってシステムを構築します。除Fe・除Mnの前に有機物の除去等の処理や、Fe除去のあとにMn除去と二段階で処理する場合、また使用用途によっては高性能フィルターを敷設させる場合もあります。